ひきこもりやニートにもわかる仕事の進め方私が就職したころは新卒で即戦力を期待された就職氷河期時代で、誰も仕事のやり方を教えてくれなかったので、失敗しつつ手探りで仕事を覚えた。ひきこもりやニートのまま歳を取った人はどうやって仕事をすればよいのかわからないという不安が就職活動に気後れする原因になると思うので、働いたことがないひきこもりやニートにもわかる仕事の進め方を書いておくことにした。 ●初心者の仕事の進め方 ・やるべきことと、やってはいけないことを把握する やるべきことは上司や先輩に指示される。指示されていないことは基本的に自分には「やる権限がない」のでやってはいけないものとみなして、やれそうだと思ってもやってよいと許可をもらうまで勝手に手を出してはいけない。指示されてないことまでやって失敗して仲間の足を引っ張る無能な働き者が一番嫌われるので、新人で職場の仕事の進め方や人間関係がわからないうちは指示されたことだけ確実にやっておけばよい。勝手に手を出して物を壊したり重要な書類をなくしたりすると、解雇されるだけでなくて損害賠償請求をされる可能性もある。キムタク主演の料理ドラマの『グランメゾン東京』で下ごしらえばかりやらされている人が料理の腕を示そうとして勝手に魚をさばいて魚をダメにしたエピソードがあったけれど、こういうのがやる権限がないことを勝手にやって失敗する例である。 新人の下っ端のうちは雑用とかの確実にやれる簡単な仕事を振られるので、ふつうにやると時間が余る。そのときにやり残しや片付け忘れたことなどがないか確認してから上司に作業が終わったと報告する。さらに暇があるときには「次の仕事の指示をください」とか「手が空いたので何か手伝えることはありますか」などと聞いて次の作業にとりかかる。この時に上司が集中力が必要な重要な仕事をしているときなどには声をかけないほうがよい場合もあるので、声をかける時には相手の様子を伺って仕事が一区切りしたときとかのちょうどよいタイミングで声をかけるほうがよい。 ・業界用語を覚える 仕事の指示に業界特有の専門用語が混じっていて、意味がよく分からない場合がある。その場合はわかったふりをせずに、どういう意味なのか確認しないといけない。例えば工事現場で「ネコ持ってこい」と言われたときに「ネコって何ですか」と聞くと猫車という道具だよと教えてくれると思う。上司や先輩も新人に何度も説明するほど暇でないので、記憶力に自信がない人は一度の説明で覚えられるようにメモをとるとよい。業界用語をわかったふりをして野良猫を捕まえて持っていくと使えない新人として邪険に扱われるので、わからないことはその場で確認するのが大事である。 新人は雑用係として電話の取次ぎをすることがあるので、取引先の会社名や担当者の名前も覚える必要がある。 ・仕事の優先順位を考える 仕事をやるように指示されても、どのようにやるかという具体的な部分は指示されず、自分で考えろと言われる場合がある。では自分で考えるとはどういうことなのかというと、何のためにその仕事をやるのかという目的を理解して、その目的を達成するためにはどういう仕事の進め方をすればよいのかを自分で考えることである。たいていの場合は早く仕事をこなすのか、正確に仕事をこなすのか、その両方が必要なのかで、優先順位をつけることが必要になる。 例えば役所の手続きなどは書類にミスがあるとその書類を修正するだけではだめで最初から手続きのやり直しになる場合があるので、速さよりも正確さが重要で、早くて雑な仕事をせず、期限内に正確に手続きを終わらせる必要がある。飲食店の掃除などは開店前にテーブルの汚れを拭いて椅子を並べて店を開ける場合と、閉店後に使用済みのキッチンを掃除する場合とでは速さと正確さの優先順位が変わってくる。開店前の掃除は開店時間に間に合うように早く作業する必要があるのに対して、閉店後の掃除は除菌が不十分だと掃除したことにならないし翌日の食中毒の原因になるので正確に作業することが必要になる。 複数の仕事をやるように言われたときは、優先順位が高いものから先にこなしていく。 1.優先順位が高くて時間がかかる仕事(例:取引先との商談、新商品の開発) 2.優先順位が高くてすぐに終わる仕事(例:契約書の送付、出張先のホテルや飛行機の予約、メールの返信) 3.優先順位が低くて時間がかかる仕事(例:マニュアル作り、プレゼン資料の用意) 4.優先順位が低くてすぐに終わる仕事(例:机の片づけ、備品の補充、ごみ捨て) という優先順位が高い順番に仕事をやっていくと、時間が足りなくて期限までに大事な仕事がおわらないという事態になりにくくなる。3番目や4番目の優先順位が低い仕事は自分でやらずに暇な人に代わりにやってもらってもよい。新人のうちは上司や同僚の仕事のなかで優先順位が低い雑用を代わりにやらされることがある。 ベテランになって任せられる仕事が多くなったときはタスク管理にもリソースを割かないといけなくなるので、1と2を逆にしてまず抱えている仕事の数を減らすとタスク管理しやすくなって管理もれでのうっかりミスをなくしやすくなる。 優先順位をつける際にはやるべきことを一覧化した図やTo Doリスト(格好よく言うとWork Breakdown Structure)を作ると、進捗状況を確認しやすくてやり忘れを防ぐことができるようになる。 ・フィードバックをもらう 仕事が終わった後は、先輩や上司にその仕事の進め方で良かったのか、問題がなかったのか聞いて、フィードバックをもらうとよい。問題がある場合はなぜそのやり方ではだめなのか、次はこうしたらいいよ、などのアドバイスをもらえるかもしれない。 そのフィードバックの積み重ねで、仕事のミスがなくなって、作業が速く正確にこなせるようになっていく。いちいち上司が監督しなくても一つの仕事を問題なくこなせるようになると、今度は他の仕事を割り振られる。そうやって仕事に必要な技術やコツを覚えて、いろいろな仕事をこなせるようになっていく。 上司や先輩が忙しすぎて新人をほったらかして、指示がずさんだったりフィードバックがなかったりする会社はあまりよい会社でなくて、そういう環境だと成長しにくい。就職した会社がそういう環境だったら、仕事を覚えるのが遅かったりミスしたりするのは本人の能力不足というよりは会社の責任が大きいので、ミスしてもあまり気にしないほうがよい。 ・ルーチンワークを覚える 一通り仕事の手順を覚えると、あとは毎日同じ作業を繰り返すようになる。このルーチンワークを覚えるのにかかる期間は職種によるけれど、作業内容が限定されていてマニュアル化されているアルバイトだと1週間くらい、もっと複雑なことをやる正社員だと3か月から半年くらいである。 決算の棚卸とか1年に1回特殊な作業をやる場合は1度やっただけだと仕事を覚えきれないけれど、3年で3回同じことをやればだいたい覚えるという点で正社員なら3年働くというのは仕事を覚える期間一つの目安になる。しかしそういうのはどういう業種でどういう仕事をするのかによるので、絶対3年働かないと一人前になれないというわけではない。 ●仕事で成長する方法 ・現状と目標を把握する 現状の「As-is」と目標の「To-be」を明確にすることで、その差を埋めるにはどうすればいいのかという具体的な方法を見つけて目標に近づきやすくなる。現状認識が間違っていたり、目標がはっきりしない場合は、成長するための方法やその効果もあいまいになって成長しにくくなる。 ・メンターを見つける メンターというのは仕事の進め方や交渉の仕方や部下の管理の仕方など、あらゆる面でロールモデルになる人物である。メンターに追いつくことを当面の目標にすると、どの役職でどのくらい仕事をすればどの程度の収入があるのかという目標がはっきりしてモチベーションが維持できるので、仕事に打ち込みやすくなる。零細企業にはまともなメンターがいない場合があるので、その場合は取引先のすごい人をお手本にするとかして学ぶとよい。 ・他社でも使える汎用的な資格や技能を覚える 今は終身雇用でなくなって大企業でも倒産する時代なので、特殊な機械の操作とかのその会社でしか通用しない専門技術に特化すると潰しが効かなくなって転職するときに全く経験のない仕事で一からキャリアの積みなおしになる。そうならないように他社でも応用できるような資格や技能があると転職の際のアピールになる。普通に仕事をするだけでは汎用的な技能が覚えらない場合は、余暇を使って資格取得の勉強をするとよい。 ・他社と比べる 仕事をするようになると、他の会社の商品やサービスの良し悪しにも気づくようになる。バイトだけで回している店のオペレーションが悪いからマニュアルを変えてああすればいいのにとか、場末のスーパーなのにすごく接客がいいレジのおばさんとか、他の会社で働く人の仕事ぶりを見て気づいたことを自分の仕事に取り入れると自分の仕事ぶりもよくなる。 ●会社に利用されないようにする方法 ・犯罪に巻き込まれないようにする 一通り仕事を覚えてルーチンワークをしていくうちに、上司が何かを隠してルーチンワークから外れるような妙な指示を出してくることがある。例えば書類の形式上判子が必要なだけだから担当者として新人君の名前で判子を押してくれとか、あの書類の発注者の名前を新人君の名前に書き替えておいてくれとか、そんな感じのことがある。そういう場合は上司が偽装とか粉飾とかの犯罪行為をしていて、無知な新人を利用したり罪を押し付けようとしたりしている可能性があるので、上司が信用できない場合はいつどんな作業を頼まれたか逐一メモを取ったり録音したりして証拠を残しておいて、同僚やさらに上の上司に相談するとよい。上司が社長しかいなくて社長が信用できない場合は会社を辞めることも考えるほうがよい。 反社系の詐欺会社だと、元ひきこもりや元ホームレスをおだてて形だけの代表に据えて、詐欺グループの実行犯の名前が表にでないようにしているところもあるので、社長になれるとかのうまい話に誘われたら警戒するほうがよい。 ・サイコパスを見抜く 会社の社長にはしばしばサイコパスがいる。サイコパスはリスクを取ってリーダーシップを発揮するのに向いていて、サイコパスだからといって悪い人というわけではないけれど、サイコパスのうえに悪人の場合は他人への共感が欠落していて自分の利益のために他人を利用して、部下の手柄は自分のものにして部下を何人も精神病にして辞めさせたりするような人がいる。 サイコパスは初見だと面倒見がよい人に見える。しかし普段は食事を奢ったりして良い人ぶって無理やり恩を着せて、俺が目をかけてやったからお前が一人前になったんだぞと脅してきて手駒として扱いたがる場合もある。 ●条件のよい会社を選びやすくする方法 ・儲かっている業界は労働条件がよくて長く働ける可能性が高い 特にやりたい仕事もなくて働けるならどの業種でもいいけれどなるべく給料がいい職場で長く働きたいという場合は、TKC経営指標(BAST)要約版・速報版を見ると、いろいろな業界の売上高や労働分配率や平均従業員数などがわかって、条件が良い業種を探しやすくなる。 例えば年齢や経験が不問で雇ってくれる飲食業で仕事を探したい場合、TKC経営指標の令和1年10月決算~令和1年12月決算のデータだと、「食堂、レストラン」では黒字企業の割合が29.2%で赤字の企業が多いので、せっかく就職しても調理や接客の技術を覚えないうちに閉店して解雇されてまた就職活動をしなければならなくなる可能性がある。同じ飲食業界で働くにしても「専門料理店」は黒字企業の割合が46.1%で一人当たり人件費も「食堂、レストラン」よりも若干高いので、長く働いて調理や接客の技術を覚えられる可能性がある。 あるいは資格を取って正社員で働きたいという場合は、資格を取る前にその業種は儲かるのかをちゃんと調べないと、資格を取っても雇ってくれる会社が見つからなかったり、独立できるほど儲からないということになりかねないので、資格学校や専門学校の宣伝文句を鵜呑みにしないほうがよい。 ・儲かっていない業界は労働環境が悪い可能性が高い 企業が求人をする理由は、普通の求人の場合は金を払ってでも人を雇って仕事をさせるほうが利益が出るからである。この場合は企業が儲かってそのぶん給料も増えるという好循環になる。 その一方で普通でない求人の場合は、低賃金の長時間労働などの労働条件が悪いブラック企業で会社から人が逃げていて仕事が回らなくて、自転車操業でその場しのぎで求人を出して人を雇う場合がある。この場合は従業員に無理やり売上を上げさせようとしてノルマがきつかったり、一人で多くの作業をさせるために長時間労働だったり、新人に仕事を教える余裕がなかったりするので、労働環境が悪くなる。そういう会社に就職して我慢して働き続けて病気になっても会社が面倒を見てくれるわけではなくて結局クビになるので、肉体的・精神的に無理だと思ったら見切りをつけて転職するとよい。 倒産するのを隠したまま従業員の給料を踏み倒すつもりで求人を出している悪質な会社もあって、会社が倒産した場合は債権者が大勢押し寄せて残った金を分け合うので、従業員の給料が満額支払われない可能性が高い。せっかく就職したのだからと一生懸命働いても倒産したら給料が払われずに働き損になる可能性があるので、給料の遅配とかの資金繰りの悪化の兆候があったら早めに転職活動をするとよい。 ・高齢化している業界は新人が大事にされるかもしれない 漁業や林業や廃棄物処理業などは高齢化していて、40代や50代で就職しても会社で一番若い場合がある。普通の会社だと中年に即戦力を期待して、うまく仕事ができないと使えない奴として冷遇するけれど、高齢化して人手不足の業界だと中年の新人が辞めずに定着するように面倒を見たがる。例えば漁業だと引退した漁師が費用をかけて船を処分するくらいなら、新人の漁師に無料で船を譲ったりしている。 というわけで、そろそろ働こうかなと思っているひきこもりやニートの人は頑張るとよいですよ。 2023/4/4更新 ∧ ∧ (*‘ω‘ *)ニャーン ジャンル別一覧
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